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アスベスト含有屋根材の見分け方と最適な解決方法
更新日 : 2023年12月15日
更新日 : 2023年12月15日
しかしスレートの屋根材にアスベストが含まれていると、リフォーム費用が高くなるので注意が必要です。
こちらの記事では、アスベスト含有のスレート屋根住宅の最適なリフォーム方法とノンアスベストのスレート屋根材の注意点についてお話します!
屋根のリフォームを検討する時期は?
スレートの屋根材は、陶器の瓦と違い軽くて扱いやすくおしゃれなのが魅力ですが、耐用年数は瓦に比べてかなり短くなります。アスベスト入りのスレートの耐用年数は30年、ノンアスベストのスレートの耐用年数は15年~20年です。屋根は住宅を守る重要な役割を持っていますので、家を建てて15年以上経っているならリフォームを検討する時期に入っているかもしれません!
屋根にアスベストが含まれているか見分ける方法は?リスクはあるの?
危険と言われているアスベストですが、屋根に含まれている場合のリスクはどのくらいのものなのでしょうか。
家の屋根にアスベストが含まれているのは危険?
アスベストの健康被害は大きく取り上げられていますが、アスベストは安価な上に軽くて耐火性に優れているので、建物が高層化するにしたがって鉄骨を覆う建材として広く使われるようになりました。他にも断熱性、防音性、絶縁性という特性を持っているアスベストは天井への吹付にも使われています。1975年からは吹付は原則禁止になりましたが、製品の中に混ぜるものに関しては製造されていました。現在はアスベストの封じ込めや撤去などを進め、公共の施設については対策が進んでいます。
アスベストの健康被害はアスベストを吸い込んでから20~30年後に出ることがあり、「静かな時限爆弾」と言われています。
ひとたび、たくさんのアスベストが飛散すると個人だけでなく、環境にも影響を与えます。お家の屋根材にアスベストが含まれていたらいったいどんな危険があるのか、不安になりますよね。
実は2004年以前に建てられた住宅に多く使われている屋根材のスレート(カラーベスト・コロニアル)の大半にはアスベストが含有されています。
なぜ、危険だといわれるアスベストが使われていたのでしょうか?その理由は素材のセメントにあります!
スレートはセメントに繊維素材を混ぜて板状にしたものです。セメントだけでは強度がでないため、繊維素材としてアスベストを加えて加工していたという経緯があります。2004年にアスベストは原則禁止されています。
では、屋根材に使われているアスベストはどのくらい危険なのでしょうか?
実は、屋根材にアスベストが含まれていても、今すぐ危険ということはありません。
アスベストがむき出しになっている吹付の天井や壁と違って、屋根材の中に含まれているので破損しない限り安全といわれています!
しかし屋根が傷んでいたり、雨漏りがしていたりという症状があればリフォームを考えなければなりません。
アスベストが含まれている屋根材は、含まれていない屋根材に比べて、リフォームの際の負担が大きくなります。 まずは、お家の屋根材がアスベストを含んでいるかどうかをチェックしましょう。
家の屋根材にアスベストが含まれているかどうかの見分け方は?
アスベストが含まれているかどうかの見分け方は3つあります。
① いつ建設されたかで見分ける
② 屋根材で見分ける
③ 15年以上傷んでいないかどうかで見分ける
それでは1つずつみていきましょう。
石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止なったのは2004年で、これ以降はアスベスト含有の建材が流通することはほぼなくなりました。これ以降に建てられた家にはアスベストが入った屋根材は使われていません。 ですからリフォームに際して、アスベストの心配はしなくてよいでしょう。 しかしこれはあくまで目安です。 それ以前に建てられた住宅でもノンアスベストのスレートが使われている場合があります。 というのもアスベストの危険性が取り上げられてからメーカーは1990年代より、ノンアスベストのスレートを販売しているからです。 有名なところでは、ニチハで販売されていたパミール。1996年からノンアスベストのスレートを販売していました。
アスベストが入っている屋根材はスレート、セメント瓦などの陶器瓦以外が該当します。 この製品名で調べるのは一番確実な方法です。竣工した年、製品名、ロットが分かれば、国土交通省のホームページの他、日本石綿協会、ロックウール工業会、石膏ボード工業会のホームページで調べることも可能です。 ただし、図面にコロニアルとあっても性能が同じ別の製品が使われている場合も少なからず存在します。 確実なのは屋根材をはがした裏にある製造番号で調べる方法ですが、これは危険が伴います。くれぐれもご自分で確かめようなどとなさらないでください。
POINT3. 15年以上傷んでいないかどうかで見分ける
同じスレートでもアスベスト含有のものとノンアスベストのものでは、耐用年数がちがってきます。 アスベストのあるスレートは長持ちするのですが、ノンアスベストは15年過ぎるとどうしても傷みが出てきます。早いものでは10年前後で出ることもあります。 15年以上屋根のトラブルがないというのは良いことですが、アスベスト入りのスレートの可能性は高いです。
簡単診断! アスベスト含有屋根材を見分けるフローチャート
実際に自分のお家の屋根材はアスベスト含有なのかどうかを簡単に診断してみましょう。 下のフローチャートを使って確認することができます。
アスベスト含有の代表的な屋根材は?
それではアスベスト含有の代表的な屋根材をみていきましょう。代表的なところでは、ケイミュー(旧クボタが2003年、パナソニックと事業統合)と積水屋根システム株式会社(旧セキスイルーフテック)です。
ケイミュー(旧クボタ)コロニアル
スレートといえばコロニアルというくらい、有名ですね。1961~1986年まで販売されていた製品です。 ケイミューで現在主流となっているノンアスベストの「コロニアルグラッサ」と似ています。このころのコロニアルは耐用年数が長く、30年は持つといわれていて、スレート本体より棟板金の不具合が先に出やすい傾向にあります。安価で軽い、高い技術力を必要としないなどの理由で普及しました。
ケイミュー(旧クボタ) アーバニー
他のスレートとは違い縦長のおしゃれなデザインのアーバニー。下端がランダムに重なり合っているのでまるで天然スレートのような高級感が漂います。1982年~1994年まで販売されていました。アスベストの含有率は規制が厳しくなるにしたがって低くなっています。 2001年から2005年までですが同じデザインでノンアスベストのアーバニーグラッサが販売されていました。 しかしアーバニーは、スレート一枚一枚の先端の長さを変えて切り込みを入れているという構造のため、かなり割れやすい屋根材です。
積水屋根システム株式会社(旧セキスイルーフテック) かわらU
かわらUは瓦のようなデザインで大ヒットした製品です。 アスベストが含有されているもの(1975〜1990年)と含有されていないもの(1990〜2007年)の2種類があります。 ノンアスベストのかわらUがアスベスト含有のものより脆かったため、様々な混乱がおきました。
アスベスト含有の屋根材のリフォームが大変な理由は?
それでは、家の屋根材がアスベスト含有の屋根材だった場合の適切なリフォームはどのような工事になるのでしょうか。 アスベストの飛散が気になるところですが…
大丈夫!屋根材に含まれるアスベストは破損しない限りほぼ無害です。
屋根材に含まれるアスベストは飛散する可能性が低いので、劣化しない限りほぼ無害です。 危険性が問題なのは吹付のアスベストのようにむき出しになっているものに限られています 室内の天井や壁に吹き付けられている建物などがそれにあたります。屋根材はどうでしょうか。アスベストが含まれている屋根材は、セメントに混ぜられています。 しかも耐久性に優れているので破損などしない限り、アスベストが飛散する危険性は極めて低いです。 屋根の破損がなければあわててリフォームをする必要はありません!
アスベストの危険性にはレベルがある
アスベストの危険性は飛散する危険度に応じてレベル1~3までに分類されています。
※国土交通省 目で見るアスベスト建材(第2版).pdfより引用
屋根材は危険度レベルの一番低いレベル3に分類されています。 スレートは適切に扱えばアスベストが飛散することはまずありません。そのため産業廃棄物として処理されます。 しかし、含有されているアスベストは適切な処理をしなければなりません。 これがリフォームの際の負担となってきます。
アスベストを含むスレートがリフォームの負担になる理由
破損や欠けなどがなければ、ほぼ無害のスレートでも経年劣化によってリフォームしなければならない時期がやってきます。 ノンアスベストのスレートならばリフォーム費用がかかるだけなのですが、アスベスト含有のスレートはそういうわけにはいきません。 理由は3つあります。
① アスベストの処理費用がかかる(処理費用だけで30万~50万円)
② 「石綿作業従事者特別教育」の受講「石綿作業主任者技能講習」を修了した業者であることが必要
③ 飛散しないように覆いをして手作業で水を撒きながらスレートを撤去する必要があり、工期も長くなる
からです。
アスベスト含有屋根材の最適なリフォーム方法は?
アスベスト含有のスレート屋根のリフォーム工事としてどんなものがあるでしょうか。 屋根のリフォームで考えられる方法は2つあります。
① 屋根のカバー工法
② 屋根の葺き替え
安全性ですがスレートの屋根材はアスベストが飛散する可能性がほとんどありません。安全性についてはどちらを選んでも差はほとんどないのです。 そうなると、問題はコストになります。 ではそれぞれの特徴をみていきましょう。
表にもありますように、屋根葺き替え工事はコストと工期がかかります。しかし1度してしまうとしばらくはリフォームの心配がなくなるので、長い目でみるとコストパフォーマンスはよいと言えます。
一方、カバー工法はコストも工期も少なくて済みますが、カバー工法は1度しかできないので次回のメンテナンス時にはコストが割高になってしまいます。また、カバー工法は屋根の野地板がしっかりしていることも条件になります。 短期的には費用が抑えられても将来的にはコストがかかってしまいます。 しかも、地球環境を考えればアスベスト含有の屋根の処理費用は今後上がっていくことが考えられます。 30年以上住んでいる家や近々建て替えを考えている家なら、カバー工法でもよいでしょう。 築年数が浅い家や、長持ちさせたいのならば葺き替え工事がおすすめです。 屋根の状態やこれからのライフステージを見据えてリフォーム工事を選ぶことが重要です。
移行期のノンアスベスト屋根材は危険?
ノンアスベストのスレートにも数々の課題は残っています。 アスベストの問題が大きくなり規制が厳しくなると見越したメーカーは、ノンアスベストの商品開発を進めました。しかし開発を急ぐあまり、ノンアスベストのスレートによる住宅の被害が多く出てしまいました。移行期のノンアスベストスレートの特徴
アスベストはセメントに混ぜることでセメントに粘り気を与え、スレートの耐久性をもたらす役割がありました。 ところが、ノンアスベストを目指して1990年代から2000年代ごろまでに製造されたスレートはアスベストが入っていないために耐久性がなく脆いものが多いです。 アスベスト含有スレートが30年前後持つのに対して、ノンアスベストのスレートは15年から20年と短くなっています。ノンアスベスト屋根材の不具合例(1) セキスイかわらU
ノンアスベスト屋根材の不具合例(2) パミール
アスベストに関する最新のニュース
ここまで屋根材に含まれているアスベストについてお話してきましたが、アスベストは様々な製品に使われていました。 そしてその健康被害は今も続いています。 2021年9月9日の朝日新聞デジタルの記事によると、建築用タイルを作っていた会社に1960年代から22年勤めていた女性が、2016年に中皮腫の診断を受け労災認定されました。 そして今年、その女性の遺族が国の責任を問う裁判で、国が和解金を支払う形で和解が成立したということです。 アスベストはすぐに被害が出るわけではないので、きちんとした処理が大切ですね。 (引用元:朝日新聞DIGITAL より一部抜粋 https://www.asahi.com/articles/ASP986R25P98TTHB003.html)アスベスト含有屋根材の見分け方と最適な解決方法のまとめ
屋根材のアスベストは破損しない限り、ほぼ無害です。 屋根の傷みが気になってきたらリフォームを検討しましょう。 検討する点は2つ。1.アスベスト含有屋根材かノンアスベスト屋根材かを見分ける
●2004年以前の建物かどうか
●スレートの製品名、ロットで調べる
●15年以上傷んでいない
2.今後のライフステージに合わせて工法を選ぶ
●屋根の葺き替え 長い目でコストパフォーマンスがよい
●カバー工法
コストをかけずにリフォームできる お家が築浅なら葺き替えが、建て替え時期がせまっているならカバー工法がおすすめです。 アスベスト含有屋根材、ノンアスベスト屋根材ともにメリットデメリットがあります。 ご自身のお家やご家族の状況にあったリフォームを検討しましょう。
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