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瓦屋根は本当に地震に弱い?古い瓦屋根の問題点や地震対策の方法まで解説!

更新日 : 2024年10月11日

更新日 : 2024年10月11日

瓦屋根は地震に弱い?地震対策チェックポイント

 2024年1月1日午後4時10分頃、石川県能登地方で大規模な地震が発生しました。M7.6に達し、1995年の阪神・淡路大震災(M7.3)や2016年の熊本地震(M6.5)を上回る規模となります。

 それから数か月が経過しましたが、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされており復興には長い時間が必要とされています。

 特に、輪島市や珠洲市では古い家屋や建物の倒壊が目立ち、その多くは昔ながらの工法で建てられた瓦屋根のお住まいでした。

 近年ではガルバリウム鋼板やスレートといった軽量屋根材が主流となっていますが、重い瓦屋根に対する耐震性を不安視する声も少なくありません。

 そこで、この記事では瓦屋根の耐震性が気になる方に向け、従来の工法における問題点地震対策についてついて詳しい情報を解説いたします!

瓦屋根の家は地震で倒壊する?
地震で倒壊した瓦屋根の家

 冒頭でもお伝え致しました通り、能登半島地震で被害が大きかった建物の多くは昔ながらの工法で建てられた瓦屋根の住宅でした

 瓦は1枚で約3kgの重さがあり、さらに土葺きに使われる土や下地材の重量も加わるため、1坪あたりで換算すると約240kgという非常に重い負担がかかります。


屋根の重さによる地震の揺れの違い

 瓦屋根はその重さを原因として家の重心が高くなり、地震の際に揺れが大きくなるとされています。

 そのため、最近では耐震性を考慮して軽量なガルバリウム鋼板やスレートといった屋根材を選ぶ方が増加傾向にあります!


瓦屋根から軽い屋根へ

 建物の揺れは屋根材が軽ければ軽いほど小さく抑えられる傾向にあります。ですが、重い瓦屋根だからといって必ずしも倒壊のリスクが高いわけではありません。

 同様にガルバリウム鋼板やスレートなどの軽い屋根材だからといって、必ずしも倒壊を防げるわけではないのです。

 「屋根の材質や重さだけで家の耐震性が決まるわけではない」という点をまずは念頭に置いておく必要があります!

 確かに、能登半島地震で大きな被害を受けた建物の多くは築年数が古く、昔ながらの古い工法で建てられたものでした。

 しかし、同じ瓦屋根でも現行の「ガイドライン工法」※に基づいて施工された住宅では倒壊を免れていたことが確認されています!

 能登半島地震における瓦屋根の被害が大きかった主な原因として、

 ・昔ながらの工法で造られ、瓦が固定されていなかった
 ・家全体の耐震性も十分では無かった


 上記の要因が大きかったと言えます。


能登半島地震後の状況,ガイドライン工法で施工した住宅の瓦屋根

 ※国土交通省 国土技術政策総合研究所「令和 6 年能登半島地震による建築物の津波被害及び瓦屋根の地震被害現地調査報告 速報」より引用


 ※ガイドライン工法とは?
 2001年に制定された「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に基づいた施工方法を指します。平部(屋根)の瓦は全て釘打ちで固定し、棟部は芯材・補強金物を使用しての施工が推奨されました。

古い瓦屋根は何が問題なのか

 能登半島地震で特に被害が大きかったのが、築年数が古く耐震性能が十分でない住宅でした。

 中でも「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」が策定される前に建てられた瓦屋根の住宅は、主に土葺きや引っ掛け桟葺きといった工法が用いられており、瓦が屋根の下地にしっかり固定されていない状態です。

 地震の揺れによって瓦が落ちるなど、地域全体に甚大な被害を引き起こしました。


土葺き工法(湿式工法)
引っ掛け桟工法(乾式工法)

瓦屋根における施工方法の違い

土葺き  土により屋根瓦を固定する工法
(1923年の関東大震災・1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、倒壊の危険が周知されたことで施工数は大幅に減少)
引っ掛け桟葺き 桟木を屋根の下地に留め、瓦を桟木に引っ掛けて釘で固定する工法です
(瓦4枚につき釘1本を打ち付けるが、棟瓦は土と漆喰で積み上げられているのが主流です)
ガイドライン工法 瓦を桟木に引っ掛け、瓦1枚につき釘1本を打ち付けるのを最低基準とした新しい工法です
地域ごとに風速・地表面区分の基準も厳しく設けられています


 従来の土葺き工法は、瓦を土の粘着力だけで固定している施工方法です。
 その為、時間の経過とともに瓦が剥がれやすくなり、地震により落下してしまうリスクも非常に高いです。

 一方、現在も使用されている引っ掛け桟葺き工法はガイドラインの制定後に釘の打ち込み本数が増え、明確な基準が設けられたことでより強固で耐久性の高い仕様へと進化しています。

 また、能登半島地震では、ガイドラインに基づいて造られた瓦屋根は落下しませんでした。

 その為、瓦屋根そのものが地震に弱い訳では無く、これまでの施工方法に問題があったことが明らかになりました。


土葺き
引っ掛け桟葺き
ガイドライン工法

 土葺きの瓦屋根の地震・台風に対する危険性・お勧めのリフォーム方法はこちら
 ⇒土葺き瓦屋根の葺き替え方法!

瓦屋根の地震対策

 ガイドライン工法によって施工された瓦屋根は、美観・耐久性など瓦屋根本来のメリットを生かしながらも、地震に強い屋根となっています。

 また、2022年1月からは、新築住宅の瓦屋根では瓦の固定が義務付けられ、さらにほとんどの場合において災害に強い「防災瓦」が使用されています!


建築物の瓦屋根に係る基準についてガイドライン工法を踏まえて告示基準を改正

 ですが、現在でも古い瓦屋根のお住まいはまだ多く、そうしたお住まいは地震が発生した際に瓦の落下・倒壊リスクを抱えている状態です。

 屋根は外壁同様にお住まいを守ってくれている重要部分です!
 その為、現在古い瓦屋根をご使用されている場合には、以下の地震対策をされる事をおすすめいたします。

 ガイドライン工法による棟の取り直し
 防災瓦を使用した葺き替え工事
 軽量な屋根材を使用した葺き替え工事


1.ガイドライン工法による棟の取り直し

ガイドライン工法による棟取り直し

 瓦屋根の地震対策としてまず挙げられるのが、「ガイドライン工法」による棟の取り直しです!

 棟の取り直しとは、屋根の頂部にある棟瓦のズレ・漆喰の剥がれを一新する工事を指します。

 棟は経年により徐々に固定力が低下していく部分であり、特に地震時に崩れやすい場所でもあります。

 そのため、棟部分だけでも地震対策を行うことで被害を軽減できる可能性が大きくなります。

 ガイドライン工法は古い棟瓦を撤去後、補強用の金具や芯材を設置し、防水性と耐久性に優れた南蛮漆喰を使用して棟瓦を再度積み直します。

 厳しい基準のもとで行われるからこそ、地震に強い棟となります。


ガイドライン工法で耐久性のある棟を実現

 特に昔ながらの瓦屋根では、棟部を高く積み上げている場合も多いです。

 棟取り直しによって棟を低くすることで、重量を減らし耐震性・耐久性を向上させる事が出来ます。


棟部の熨斗瓦の段数を減らして軽量化

2. 防災瓦を使用した葺き替え工事

防災瓦への葺き替え

 瓦屋根の地震対策として次におすすめしたいのが、「防災瓦」への葺き替えです。

 防災瓦は従来の瓦にあった「重量が重く、地震や台風で落下しやすい」という弱点を改善した瓦です。

 中でも特殊な形状を持つツメで瓦同士を連結・固定する「ロックアーム」はズレや浮きのリスクを低減させ、瓦屋根の耐震性能を大きく工場させています!


従来の瓦よりズレや浮きに強い防災瓦

防災瓦のメリット・特徴

個々の瓦をツメで連結する事により、ズレ・浮きが生じにくい

ビスや釘でそれぞれの瓦を固定する為、落下しずらい

従来の瓦より約10%軽量で、耐震性も向上している


 現在、瓦屋根のほとんどは防災瓦によって施工されます。
 その為、築20年以内に新築されたお住まいは心配する必要はありません。

 しかし、その一方で2001年以前に新築された瓦屋根で「一度もメンテナンスをされていない場合」や、「瓦にズレ・浮きあがりの症状が見られる場合」には注意が必要です!

 万一の際に崩落してしまう危険性もあります。

 地震の際にも安心できる防災瓦について詳しくはこちら
 ⇒地震などの災害に強い! 従来のイメージを覆す防災瓦


3. 軽量な屋根材を使用した葺き替え工事

軽量な屋根材への葺き替え

 瓦屋根の地震対策として、軽量な屋根材を使用して葺き替えを行う事も有効です!

 軽量な金属屋根材に葺き替える事で、柱・壁の強度を変えずに屋根の重量だけ小さくすることが出来ます。

 その為、耐震等級が上がり、耐震性も向上します!


耐震等級と耐震性能
瓦屋根から金属屋根に葺き替え軽量化

 現在、軽量な屋根材の中でも金属屋根材の主流となっているのがガルバリウム鋼板です!
 新築・リフォーム、どちらにおいても採用されています。


〇瓦よりも軽量な屋根材

ガルバリウム鋼板

アスファルトシングル

化粧スレート

樹脂繊維入り軽量瓦

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板、重量は瓦屋根の約10分の1

 ガルバリウム鋼板は近年非常に人気のある金属屋根材で、ご存知の方も多いと思います!

 瓦屋根の約1/10の重さしかなく、屋根材の中でも最軽量です。

 一昔前は金属屋根に対して「夏場は暑そう」「雨音が響きそう」「安っぽい印象がある」といったネガティブなイメージがありましたが、現在ではその印象も払拭されています。

 最近の製品では断熱材が一体化しているものや遮熱塗料が施されている製品など、優れた断熱性・遮音性を備えているものが多く登場しています。

 また、デザイン面においてもお洒落・スタイリッシュな景観を持つ種類が豊富にあります。

 瓦屋根からの葺き替えをご検討されている場合、耐久性・断熱性・遮音性・デザイン性も兼ね備えたガルバリウム鋼板屋根材はおすすめの選択肢です!


アスファルトシングル

アスファルトシングル、重量は瓦屋根の約5分の1

 アスファルトシングルは北米で100年以上の歴史を持つ屋根材であり、グラスファイバーの芯材にアスファルトを浸透させ、その上に石粒を吹き付けて仕上げられています。

 日本国内においても戸建ての新築工事を中心に徐々に人気が高まっています!
 屋根材の重量も瓦屋根の約5分の1と非常に軽量です。


化粧スレート

化粧スレート、重量は瓦屋根の約3分の1

 化粧スレートはセメントを主原料として製造される薄い屋根材であり、重さも瓦屋根の約1/3程度と軽量です。

 瓦屋根に代わり一気にシェアを増やした屋根材でもあります!

 近年では金属屋根が注目される事が多いですが、導入コストの安さや取扱業者が多い事からまだまだ根強い人気があります。


樹脂繊維入り軽量瓦

樹脂繊維入り軽量瓦、重量は瓦屋根の約半分以下

 代表的な製品としては、ケイミュー「ROOGA」が有名です!

 高級感のある瓦の見た目を残しつつ、1枚1枚それぞれの瓦を屋根に打ち付ける施工方法で重さも瓦の半分以下です。

 地震による落下リスクが抑えられています。


 屋根材の種類やそれぞれの特徴についてはこちら
 ⇒屋根材の種類別の特徴・メリットを解説

 瓦屋根からガルバリウム鋼板屋根への葺き替えについてこちら
 ⇒軽量・耐久性に注目!瓦からガルバリウム屋根への葺き替え、メリットや事例

 なお、瓦屋根の葺き替え工事は「住宅の防災性を向上させる工事」として、費用の一部に助成金が適用される場合があります。

 助成金・補助金の制度は地域管轄の自治体により異なりますので、工事をご検討されている場合には各自治体に問い合わせてみましょう!


地震が心配な瓦屋根は、街の屋根やさんへまず相談!
築年数の長い瓦屋根の家は倒壊の危険も!

 前述の通り、2001年以前に建てられた瓦屋根の多くは、固定されていないため落下する危険性があります。

 しかし、そもそも築年数が経過している瓦屋根のお住まいが倒壊の危険を抱えているのは、耐震性が不足していることや経年による劣化進行が大きな原因です。

 住宅の耐震強度は屋根の重さや施工方法によって大きく変わります。
 昔ながらの施工方法で造られた瓦屋根は崩壊するリスクが高く、最悪の場合には家全体が潰れてしまう可能性もゼロではありません。


瓦屋根の葺き替えの様子

 「築30年が経過した瓦屋根が心配…」
 「能登半島地震の被害を見て不安になった…」


 上記の様なお悩み・ご不安事をお持ちの方がおられましたら、ぜひ街の屋根やさんまでご相談下さい。

 地震による災害はいつ・どこで・どの様な被害を生むか誰も予想する事は出来ません。

 だからこそ「あの時対策をしておけば良かった…」とならない様に事前に対処しておくことが大切です!


早めのご相談がおすすめです!私たち街の屋根やさんの無料点検をご活用ください!

 街の屋根やさんでは、無料点検にて屋根修理の必要性や将来的なリスクなど、現在の屋根の状態をしっかりと調査させて頂きます。

 屋根工事・リフォームに関する知識・実績豊富なスタッフがお住まいを隅々まで検査させていただきますので、どうぞご安心ください!


24時間受付お問合せフォーム

まとめ

●瓦屋根だからといって、必ず地震に弱いとは言えません。

●瓦屋根のお住まいが地震により崩落してしまうのは、以下の様な要因が大きいです

 -築年数が経過してしてそもそもの耐震性が弱い
 -昔ながらの工法で屋根が造られ、瓦が屋根に固定されていない

●築年数が経過して地震による被害を心配される方には、以下の様な対策がおすすめです

 ①倒壊リスクが高い棟部の取り直し工事
 ②地震・災害に強い防災瓦を使用した葺き替え工事
 ③ガルバリウム鋼板屋根材など、軽量な屋根材を使用した葺き替え工事

●大地震の発生や被害は予想する事が出来ません。だからこそ、一度無料点検により屋根・お住まいを見直してみてはいかがでしょうか。

瓦 地震に関するお客様の声一覧!

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