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シート防水の劣化はどんな風に起こる?建物の寿命を延ばすには劣化状況を知って正しいメンテナンスを!
更新日 : 2024年03月14日
更新日 : 2024年03月14日
ゴムシート防水は約10~15年、塩ビシート防水は10~20年の耐用年数があり、屋上防水に広く利用されています。
ご自宅や所有されているマンション・建物の屋上(陸屋根)は、前回の防水工事から何年が経過していますか?
屋上(陸屋根)防水の適切なメンテナンスを怠ると、建物内部への雨水の侵入だけでなく、建物そのものの弱体化など重大な被害を引き起こす恐れがあります。
・新築からのメンテナンスが行われていない
・屋上の状態が把握されていない
・屋上からの雨漏りが確認されている
シート防水の劣化や適切なメンテナンス方法についてご案内していますので、ぜひご参考ください。
陸屋根なら欠かせない防水工事
「屋根」と言えば、傾斜があるイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。屋根には、住まいを太陽の熱や雨水から守る役割があります。傾斜がある屋根の場合、屋根を伝って雨樋に流れる仕組みで、雨水が屋根上で留まることはないでしょう。しかし、傾斜がない「陸屋根」は、勾配がなく水が溜まりやすい構造。一般的な屋根と比べると、排水機能が低く、建物への雨漏りが起こやすい特徴を持っています。そこで必要なのが防水工事。陸屋根は、屋根に水が溜まって漏水や雨漏りが起こらないように、防水工事は欠かせません。防水工事の種類は「塗膜防水」「アスファルト防水」「シート防水」の3つ!
防水工事には、大きく分けて3つの種類があります。ひとつずつ見てみましょう。ずは、塗膜防水です。防水効果のある液状の塗料を塗って塗膜を形成していく方法で、ウレタン樹脂を塗る「ウレタン防水」、ポリエステル樹脂を塗る「FRP防水」があります。液状の塗料を塗るため、イレギュラーな形状の部分へも防水層を作ることができます。
次は、アスファルト防水です。 ルーフィングと液状の溶解アスファルトで防水層を形成していく方法です。ルーフィングとは、屋根の下地にも利用される防水効果が高いシートです。アスファルト防水は強度によっては耐用年数が長いものの、建物の上部に重量が加わるため、どんな建物でも施工できるわけではありません。
そして、3つ目がシート防水です。ゴムや塩ビ(塩化ビニール)の防水シートで防水層を作っていきます。 また、機械的固定工法や密着工法など施工方法によって特徴も異なります。
シート防水の施工方法の特徴とは?
防水性のあるシートを敷設する防水工事を「シート防水」と言います。使用されるシートが塩ビシートなら1.5mm~2.5mm程度、ゴムシートなら1.2mm~2.0mm程度の厚みのものが使われます。 ひと昔前は、価格的にも安く、耐候性と伸縮性も兼ね備えているゴムシート防水が主流でした。ただ、塩ビシートと比べて防水層が薄いのが難点で、「鳥のいたずら」「飛来物の衝撃」で破れるリスクがあります。また、塩ビシートの方が耐候性に優れ、今は塩ビシート防水が主流となっています。シート防水(塩ビシート) | シート防水(ゴムシート) | |
1.5~2.5mm程度 | 厚み | 1.2~2.0mm程度 |
10~20年 | 耐用年数 | 10~15年 |
約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 単価(㎡) | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) |
1~4日 | 工期 | 1~4日 |
シート防水はどんな施工方法?
シート防水の主な2つの施工方法について見てみましょう。 まず、密着工法です。 密着工法は、接着剤を塗った下地と防水シートにシートを直接貼っていく方法です。下地に直接貼ることで、耐風圧性も期待できます。「張り付ける」という方法のため、特別な工具が必要になることもなく、工期が短くて済むのがメリットで す。ただ、下地が割れたときに、貼り付けた防水シートも一緒に裂けるなど、下地の影響を受けやすいのがデメリットと言えるでしょう。メリットの大きい機械的固定工法だけど、塗膜防水には同様の工法はある?
シート防水の工法のひとつとなる「密着工法」は、工期や耐風圧性においてメリットがりますが、下地や躯体からの影響を受けるのが難点でもあります。施工時には問題がなくても、年数が経てば建物からの影響による防水層の膨らみが見られることも。これらのデメリットをカバーするために生まれた工法が「機械的固定工法」です。
シート防水が持つリスクとメンテナンスで知っておきたいポイント
コスト的にもリーズナブルで短い工期で済むメリットがあるシート防水。ゴムシートよりも耐久性が高い塩ビシートなら、寿命が長いというメリットもあります。 ただ、耐久性が高いからと言って、永久的にメンテナンスがいらないことはなく、時期に応じたメンテナンスは必要です。
一般的に、ゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシートであれば10年~20年程度が耐用年数と言われています。陸屋根は、いくら耐久性の高いシート防水を施工しても、太陽の熱や雨水といった直接的な影響は避けることはできません。建物の寿命を短命にしないためには、どんな風に劣化していくかを知り、早めに対応することが大事です。 そこで、次にシート防水にはどんなリスクがあるのか、そしてメンテナンスのポイントを見ていきましょう。種類 | 単価(㎡) | 耐用年数 | 工期 |
FRP | 約4,000~8,000円/㎡ (税込4,400〜8,800円/㎡) | 12~20年程度 | 1~2日 |
ウレタン | 約3,000~7,500円/㎡ (税込3,300〜8,250円/㎡) | 10~14年 | 3~10日 |
シート防水塩ビ | 約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 10~20年 | 1~4日 |
シート防水ゴム | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) | 10~15年 | 1~4日 |
漏水や雨漏りがシート防水で起こる原因は?
雨水が部屋に入って雨漏りが起こると、壁紙が汚れ、カビが生えて見た目がかなり悪くなります。美観を損なうことはもちろん、室内に雨水が伝ってくるルートとなる木材が腐ってくるので、建物の強度も落ちる原因になるでしょう。最悪、それが原因で崩壊するかもしれません。新築から10年以上経過すると防水効果も弱まるため、雨漏りの悩みも出てくる頃です。シート防水が雨漏りを起こす原因についてお話していきます。1.紫外線による経年劣化
ゴムシートは、熱や温度変化には強いですが、紫外線への耐候性は弱い特徴があります。家の上にある屋根は日陰になるわけではなく、紫外線は一日中続きます。紫外線に弱いゴムシート防水の場合、劣化は早いでしょう。トップコートで防水シートを保護したとしても、トップコートの塗膜の寿命は5年~10年程度です。寿命を迎えて剥がれてくると、紫外線は直接防水シートにあたり劣化していくことになります。2.塩ビシートに含まれた可塑剤が気化して劣化する
材料を柔らかく加工しやすくする「可塑剤」を塩化ビニルに加えてシート状にしたのが塩ビシート。時間が経って可塑剤が気化すると、弾力性はなくなって硬くなり、ひび割れが起こりやすくなります。
3.飛来物から受ける衝撃や鳥による被害
シート防水は、ゴムシートで1.2mm~2.0mm程度、塩ビシートで1.5mm~2.5mm程度とかなり薄いシートです。台風で何かが飛んできたときに強い衝撃を受けると破けることがあります。 また、尖った鳥のくちばしでつつかれることでシートが破れる事例も多いです。
4.結合部分の不具合
シートの結合部分(ラップ部分)に不具合が生じることも原因のひとつです。施工時に、結合部に隙間があると、防水性が弱まります。そのほか、接着剤の塗布量の不足やムラ、オープンタイムが足りないなど、施工時の不具合が原因となることもあります。
5.防水シート端にある立ち上がり部分やドレン周り
シートの端部分の処理が悪くて雨漏りの原因になることもあります。
シートの端にある「立ち上がり」と言われる部分、雨水を排水するための「ドレン」周りなど、防水シートの末端部分は施工に丁寧さが求められます。適切に端部処理が行われているかチェックするだけでなく、パラペットの笠木部分や雨仕舞に不具合がないかなどはきちんと確認しておきたいところです。防水工事はどうやって見分ける?
陸屋根の方のなかには、シート防水と塗膜防水のどちらかの見分けが分からないケースもあるでしょう。 シート防水は、防水層が複数のシートで重なった部分で見分けることができます。一方、塗膜防水の場合、シ表面が滑らかという特徴がポイントです。 また、機械的固定工法によるシート防水には、シートの下にある取り付け器具で凹凸があります。シート防水はどうやって劣化する?街の屋根やさんが現場で見た事例を紹介
シート防水は、10~20年と長い耐用年数がありますが、いずれ不具合が見られるようになります。劣化は「メンテナンスをした方がいい」というサインです。いったい、どんな風に劣化や不具合が起こるのでしょうか。1.シートに膨れが見られる
密着工法で施工した場合、防水層の下に入った水分が気化して膨らみが見られるようになります。正しい施工をして脱 気筒を設置したとしても、起こる劣化です。シートの膨らみは、劣化の初期症状で、「今すぐに雨漏りが起こる」というも のではありません。ただ、空気の層で膨らんでしまっている以上、シートは破れやすくなっています。破ければ、雨水が侵入するリスクが高まるので、長く放置すべきではない状況と言えるでしょう。2.シートの破れている
塩ビシートは、やや厚めとは言え、1.5mm~2.5mm程度です。尖ったものや重いものがあたっただけで、破れるでしょう。ゴムシート防水なら、シート自体が1.0mm~とさらに薄く、破ける率も高まります。カラスがシートを破った事例も多いです。 また、強風で飛んできた何かがあたって傷つくケースもよくあります。強風の後には、状況を確認することが大事ですし、鳥によるイタズラはいつ起こるか分からないため、定期的なチェックが大事です。3.シート結合部や端部が剥がれている
シートの結合部やシートの端部は、だんだん剥がれやすくなってきます。 剥がれたところから雨水が入ると、シートのなかで溜まり続けます。下地とシートの接着面は劣化するので、シートが剥がれるでしょう。防水性も失われてくるので、耐用年数がさらに短くなってしまいます。シートの剥がれは、なるべく早めに専門業者に相談してみましょう。4.シートが浮く、めくれている
ちょっとした剥がれも、雨水の侵入により接着効果がなくなり、いつしか剥がれが広範囲になります。さらに、風に煽られると、シートが浮くことでめくれあがっていきます。 下地が見えている状態ですから、下地に直接雨があたるため、ダメージが強まります。当いつ、雨漏りが起こってもおかしくない状態です。早めに防水工事をしましょう。5.シートの上に水が溜まっている
雨水が流れずに、シート上で溜まっているのはシートがかなり劣化しているサインです。防水シートが浮き勾配が機能せず、雨水が排水できていません。雨水を溜めないための防水工事が、逆に雨水を溜めて雨漏りを引き起こしやすくしてしまっています。 また、なかにはシートの浮きが原因ではなく、排水ドレンがゴミや土、葉っぱなどが詰まって雨が溜まっているケースもあります。 定期的にドレンの清掃をして、詰まらせないようにしましょう。 シート防水の不具合は、経年劣化だけでなく、いくつかの外的要因が関係するものです。部分補修で済むケースもあれば、防水工事を一からやり直さなければならないケースなど、状況に応じてメンテナンス方法はさまざま。劣化状況によって一概には言えませんが、「新築から10年以上メンテナンスをしていない」「前にやってもらった防水工事は10年も前」などの場合、メンテナンスの時期が近づいています。次に、シート防水のメンテナンス方法について説明していきます。シートに「膨れ」「剥がれ」「破れ」があったとき
膨れや剥がれ、破れが見えても、「小さく部分的なもの」「雨漏りなど大きな被害がない」ときは、部分的な補修で対処ができるかもしれません。適切な全面防水工事とは?
塩ビシート防水やウレタン防水による全面防水工事が効果的と言えるでしょう。 塩ビシートは複雑な形状には向かない一方で、機械的固定工法なら既存の状態に影響されにくい施工方法です。廃材処理がないため、工期が短縮されてコストがあまりかからないメリットがあります。 しかし、貯水槽やトップライト、突起物など、障害物が多いときは、ウレタン防水での塗膜防水がいいでしょう。 塩ビシート防水なら機械的固定工法、ウレタン防水なら通気緩衝工法がおすすめです。シート防水のメンテナンスなら、ぜひ街の屋根やさんの無料点検を!
たびたび雨が降る気候の日本では、防水機能が衰えた家に住むのは不安です。特に、傾斜のない陸屋根の場合、防水シートが傷めば雨漏りのリスクも高まります。ただ、建物の屋上は、ふだんは気づかない場所。自分から「メンテナンスをしよう」「劣化は大丈夫かな」と率先して動くことが住まいの寿命を延ばすことにもつながります。 防水機能がなくなった防水シートは、雨漏り被害を引き起こしやすく家の構造を傷める原因になります。被害がひどくなれば、部分的な補修では対処できずに大がかりな工事になるケースも。早めに点検してメンテナンスをすることで、コストも安く済みます。 街の屋根やさんでは、シート防水の点検は無料で実施しています。屋根の専門家ならではの視点で、お客様の大切な家を守るアドバイスをさせていただきます。防水シート工事に不安を抱えているときは、お気軽に相談ください。シート防水のメンテナンス施工事例
ひどい雨漏りが…!防水効果がなくなったゴムシート防水を塩ビシート防水機械固定的工法に
陸屋根の屋上で、ゴムシート防水層が破れてめくれたことで雨漏りを引き起こしたケース。すでに雨漏りが発生して、防水効果はまったくななり、塩ビシート防水機械固定的工法にメンテナンスした様子のご紹介です。現地調査
現地調査をしたところ、室内の雨漏り状況はかなり深刻でした。黒い染みができた天井は、長期間にわたって屋根から大量の雨水が入り込んでことが分かります。既存の防水層を撤去する
機械的固定工法で新たな防水シートを施工
破れたシート防水をウレタン防水に
ベランダのシート防水が劣化したことでキッチンに雨漏りが発生した事例です。機械的固定工法で施工されたシート防水をウレタン塗膜防水にメンテナンスした様子を見ていきましょう。現地調査
問題となったベランダは、キッチンの真上でした。雨漏りがひどく、天井に生えたカビ。料理を作るキッチンですから、衛生的にもよくありません。既存防水層を撤去する
屋上(陸屋根)のシート防水のメンテナンスまとめ
●雨漏りを防ぐには陸屋根の防水工事は不可欠 ●塗膜防水、アスファルト防水、シート防水の3種類の防水工事がある ●ゴムシート防水と塩ビシート防水があるシート防水。今の主流は耐候性の高い塩ビシート防水。 ●シートを下地に直接貼る「密着工法」、下地からシートを浮かせる「機械的固定工法」がある。 ●ゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシートで10~20年程度が一般的な耐用年数。 ●シート防水の劣化原因には、紫外線や可塑剤の気化、衝撃や鳥害によるダメージ、シート結合部分の劣化などがある。 ●シートに結合部分があるか、固定用ディスクの凹凸などでシート防水か塗膜防水の確認ができる。 ●シート防水は、膨れや剥がれ、雨水の滞留などの劣化や不具合が起こる。 ●膨れや剥がれの部分補修は可能。ただ、耐用年数が近いときは全面防水の方がコスパもよく、家への負担も少ない。シート防水に関する施工事例一覧
横浜市南区八幡町で屋上からの雨漏りを通気緩衝工法のウレタン防水で修理しました
【施工内容】
防水工事
【使用材料】
ロンシール工業 サラセーヌEZ
川崎市多摩区菅稲田堤でマンションの屋根を縦葺き金属屋根のデコルーフでカバー工事しました
【施工内容】
屋根カバー工法
【使用材料】
デコルーフ ギングロ
横浜市旭区二俣川にて賃貸物件の雨漏り、明かり取りを塞ぎ斜壁防水工事を実施致しました
【施工内容】
その他塗装
【使用材料】
ロンシール ニューベストプルーフ 塩ビシート防水 機械固定工法
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