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屋根のプロが教える!破風板・鼻隠し・ケラバの役割と修理・補修方法
更新日 : 2024年09月26日
更新日 : 2024年09月26日
屋根で傷みやすい部分は上面ではなく、実は側面だということをご存知でしょうか?屋根は日常的に、強い日差しと雨風にさらされ、霜が降り雪が降り積もるなか、住まいを守ってくれる重要な存在です。 屋根の側面に位置する破風板や鼻隠し、ケラバと呼ばれる部分は雨に打たれ、風の影響を最も受ける部分です。 年に数回やってくる台風にも耐えうる設計にはなっていますが、その過酷な状況が何年も続くと劣化や損傷は避けられません。 定期的なメンテナンスと補修はもちろんのこと、場合によっては新しいものへ交換する必要も出てきます。破風板・鼻隠し・ケラバの役割とメンテナンス方法を知り、お家の維持管理にお役立てください。
屋根の側面の重要部分が「破風板(はふいた)」と「鼻隠し(はなかくし)」です
屋根の形状には大きく分けて、切妻(きりつま)、寄棟(よせむね)、片流れ、陸屋根と4つの種類に分類できます。太陽光発電の発電効果が高い片流れ屋根や招き屋根が人気ですが、最も多いのは「切妻(きりつま)」と呼ばれる形状の屋根です。
2面だけで構成される非常にシンプルな形状の屋根で、特定の角度から見ると二等辺三角形のような形状をしていることから『三角屋根』と呼ばれることもあり、多くの方が思い浮かべることができるのではないでしょうか。ちょうど本を開いて伏せたような形状をしています。
画像にあるように、二等辺三角屋根の斜辺になっている端の付近をケラバと呼びます。ケラバの下で側面の部分を破風(はふ)と呼ばれ、使われている建材の素材や形状から、破風の部分に取り付けられた板を破風板(はふいた)と呼ばれているのです。
破風と鼻隠し、どちらも屋根の端にあるので混同されやすいのですが、雨樋の有無という大きな違いがあります。 雨樋を取り付けない屋根の先端が破風(破風板)雨樋がある屋根の先端部分を鼻隠しです。雨樋は、縦樋に雨水を集めるために若干の勾配がついています。その雨樋を金具で支えている板材が鼻隠しと呼びます。
棟から勾配を下った屋根の端、地面と水平になっている部分を軒や軒先と呼びます。ほとんどの場合、軒先の先端には鼻隠しと呼ばれる板が取り付けられています。
吹いてきた風を切り裂き、屋根が飛ばされることを防いでいるのが破風です。 強風や台風の時に屋根組の空間に風が吹き込むと屋根が破損する可能性があります。それを防ぐために破風は、屋根を守る重要な役割を担っています。
鼻隠しとは、軒先に取り付けられた横板で、垂木と呼ばれる先端部分の切り口を隠すために取り付けられた部材です。この垂木の先端を建築用語で「鼻先」と呼ぶため鼻隠しと呼ばれています。垂木の切り口から水分を吸収して腐食しないようにする雨水侵入防止や屋根の耐風性強化になり、雨樋の下地の役割も兼ねています。
破風がある部分の外壁から外側部分をケラバと言います。屋根全体に較べると非常に短い部分です。昆虫の「ケラ(オケラ)」の羽根が短いことから、ケラの羽根のような場所ということでケラバと呼ばれるようになったと言われています。ケラバは破風や鼻隠しのような部材の名称ではなく場所を示す名称です。
世の中には破風や鼻隠し、ケラバがない家も多数、存在します!
ここまでの解説で、「私のお家には破風や鼻隠し、ケラバに該当する部分がない」と思った方もいるのではないでしょうか。住宅には、元から破風や鼻隠し、ケラバがない屋根も存在します。
ビルに代表される陸屋根
勾配がほぼない陸屋根にはその構造から破風や鼻隠し、ケラバがありません。
方形(宝形)屋根
ピラミッド型の方形(宝形)屋根も寄棟屋根と同じく、全ての方向の軒先が水平となるため鼻隠しはあるものの、破風やケラバは存在しません。 寺院などに見られる六角形や八角形の屋根も同様です。
マンサード屋根
寄棟の屋根勾配が途中で急角度になるマンサード屋根も全ての方向の軒先が水平となるため鼻隠しはあるものの、破風やケラバは存在しません。
切妻屋根以外にも破風やケラバは存在するの?
「太陽光発電が数多く設置できるように片流れにしたけど、家の屋根って破風は存在するの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
片流れ屋根にも破風やケラバは存在します。切妻屋根と同じように勾配が付けられた屋根の端、外壁から外側の部分がケラバで、その側面は破風です。
招き屋根や差し掛け屋根、複数の屋根が連なった形状の鋸屋根やM型屋根も同様です。
破風も鼻隠しも外壁から張り出した屋根の先端に設けられていることは共通しています。その役割も切妻屋根同様に屋内への雨水の浸入を防ぐことや、風が屋根内部へ吹き込むことを防いでいます。また、夏は日射角度が高いため日当たりを防ぎ室内の気温上昇を抑制する効果もあります。。
破風板・鼻隠し共通 屋根の耐風性の向上
屋根はその種類と形状を問わず、吹き下ろしてくる風への耐性はかなり強いのですが、下から吹き上げられるような風にはかなり弱いという性質を持っています。吹き下ろしてくる風に対しては柱や耐力壁で支えることができますが、吹き上げてくる風に対しては屋根の自重と釘や接着剤等の固定力だけで耐えなくてはならないのです。 破風板や鼻隠しの板が屋根の先端に取り付けてあるだけで、屋根を吹き上げるような風を分散させることができるのです。鼻隠しは垂木をつなぐ役割もしているので、屋根の強度が上がり耐風性強化の効果があります。
破風板・鼻隠し共通 雨水の浸入防止
破風板・鼻隠しには、建物内部に雨水の侵入を防止するという共通の役割があります。台風などの強風時には雨が真横から吹き付けるように降ります。破風板・鼻隠しは風を分散させる効果があるので、同じ現象により雨も分散します。屋根と外壁材が接合されている部分に雨水が到達しないため吹き込むことを防ぐ事ができるのです。
前述の屋根の耐風性の向上と、雨水の浸入防止は、同じはたらきによるもので重要な役割と言えます。
破風板・鼻隠し共通 美観の向上
屋根の下地である野地板とそれを支えている垂木、お住まいの中身である構造はほとんどが隠すように作られています。それらが見えると雑然としているように見えたり、建築中や修繕中のようによくありません。
神社・仏閣の垂木や母屋が立派に感じるのは、見られることを意識して設計され、化粧されているからです。一般的な住宅や建物は隠すことで、美観を損なわないようにしています。
破風板のみ 防火性への考慮
現在では木材が使われることは少なくなりましたが、昔は耐風性や雨水への対策を考えて、破風板には強度があり、ある程度の厚みを持った木材が使われていました。 厚みのある木材は、火災時に表面が焦げることにより炭素化しますが、芯まで酸素が行き渡らず、完全に燃え尽きるまでに時間がかかるので、建物内部までの延焼を防ぐことができます。
最近では、セラミックやセメントなどの複合材で作られた窯業系サイディングの板材や30年以上メンテナンスが不要なガルバリウム鋼板が使用される事が多く、耐火性に優れた性質の素材が選ばれています。
鼻隠しのみ 雨樋取り付け
鼻隠しは雨樋を取り付ける下地材の役割を果たしています。鼻隠しを貫通させて、垂木まで長い釘やビスを打ち込むことで、固定力を強化しているのです。垂木に打ち込めない場合にも鼻隠しのみに取り付ける正面打ちや横打ちなどの施工法もあります。 垂木まで打ち込む施工法は、45cm間隔にある垂木に届くように取り付けるので最も強度のある施工方法です。
築年数の古い建物の多くは、破風と鼻隠しに木材が使用されています。 木材は、紫外線や風雨の影響を受けやすく、耐火性・耐久性にもやや劣りますのでメンテナンスの頻度が高くなります。最近では、外壁の窯業系サイディングと同じ材料で作られた板材や金属製のガルバリウム鋼板がよく使われます。鼻隠しを板金で巻く場合は雨水が溜まらないような納まりにする事が重要です。耐火性・耐久性に優れた部材が使用され、火災や腐食から家を守ってくれます。外壁がモルタルの場合は軒天・破風・鼻隠しまでモルタル仕上げの建物も存在します。
役割・素材と共通点は多いが、破風板の方が傷みやすい
同じような場所にあり、家を守る役割や材質もほぼ似ている破風と鼻隠しですが、厳しい環境で早く傷みやすいのは、鼻隠しよりも破風板の方なのです。
鼻隠しは雨樋が設置されていることで、直射日光による紫外線やダイレクトに打ちつける雨風から比較的守られています。それに対して破風板は、紫外線や雨風をまともに受けてしまうので鼻隠しよりもダメージを受けて早く傷んでしまうのです。傷み具合が確認しにくい破風板、雨樋で見にくい鼻隠しは、メンテナンスのタイミングを逃してしまいます。大きな出費になる前に定期的な点検で長持ちさせましょう。
状態
補修方法
費用
これからの耐用年数
塗膜が剥がれかかっている
塗装 (ケレンして塗装)
安い
普通
状態
補修方法
費用
これからの耐用年数
塗膜の剥がれは進行しているが、木材は健全
板金撒き(破風板や鼻隠しを板金で撒いて覆ってしまう)
中
長い
※鼻隠しを板金撒きする場合、雨樋を取り外すので 新しい雨樋にした方がお得
状態
補修方法
費用
これからの耐用年数
塗膜の剥がれが顕著、木材にも劣化や腐食あり
部分交換、または全交換(破風板や鼻隠しを部分的、または全面的に交換する)
高い
普通・長い
※鼻隠しを交換する場合、雨樋を取り外すので 新しい雨樋にした方がお得 ※木材から窯業系に変える場合、部分交換はできないので全交換 部分的に交換する場合でも全体的に塗装となければならない
ケラバは、家の雨漏り防止や強い雨風から家を守る重要な役割を果たしている部分です。外壁より外に張り出している形状なので、破風、鼻隠し同様、雨風の影響をまともに受けて損傷しやすい部分でもあります。
地上から側面や破風、軒天部分は見えますが、上側は全く見えません。毎年とは言わないまでも、数年に1回は点検しておきたい部分です。ケラバは使われている屋根材によって、メンテナンス方法が異なってきますので、屋根材別に見ていきましょう。
互屋根(セメント瓦とモニエル瓦も含む)のケラバの部分には専用の瓦が使用されています。ケラバ瓦や袖瓦と言われているもので、破風の一部を覆えるようにL字型の形状をしています。ダメージを受けやすい部分なので、ズレや歪み、割れたり、外れて落下することもあります。いずれも放っておけば、雨漏りに繋がりますのでできるだけ早く修理することをおすすめします。。
ケラバ瓦のズレや外れ、落下
ケラバ瓦は釘などで固定されているのですが、緩むとズレが生じたり、並びが歪み、酷い状態に外れてしまうこともあります。下地が健全な場合は取り外して、歪みなく並べ直して固定することで、修繕が可能です。
釘が緩んでしまうのは風などの影響もありますが、下地に問題を抱えていることも多く、雨水が浸入し、腐食していることもあります。この場合は腐食している下地、野地板などを交換し、新しい防水紙に張り替える部分的な屋根葺き直しを行います。
セメント瓦やモニエル瓦でも屋根葺き直しは可能ですが、瓦を取り外していくと一部が欠けていたり、割れていたりすることがあります。セメント瓦はほぼ生産が終了しており、モニエル瓦も製造されておらず、在庫は東日本大震災でほとんどが割れてしまいました。
セメント瓦やモニエル瓦の場合、瓦が入手できないので屋根葺き替えになることもあります。セメント瓦やモニエル瓦は屋根塗装時にこちらのケラバの瓦も、寿命を伸ばすためにしっかりと塗装します。
スレート屋根と金属屋根では、大抵ケラバの端にガルバリウム鋼板などの板金を加工したケラバが使用されています。こちらの板金は一見、L字型のようにも見えますが、実はちょっと複雑な形状をしています。
ケラバ板金の釘の浮き、変形、錆
釘が浮いていたり、外れかかったりしている場合はビスを増し打ちして強固に固定します。変形している場合も同様に、その変形量が少ない場合はビスを増し打ちで対応します。
変形が酷い場合や錆が酷い場合は交換しないといけませんが、板金はL字型ではなく、屋根材の下に入り込んでおり、なおかつ固定されているため、屋根材を広く剥がさないと交換はできません。スレートも金属屋根材も剥がした部分は再利用ないので、将来的に考えれば屋根カバー工法や屋根葺き替えを選択した方が賢い選択になることもあります。
スレート屋根も、金属屋根も、屋根塗装時にはケラバ板金をケレンしてから錆止めを塗布し、しっかりと塗装します。
一度の足場仮設でまとめて補修工事をしたほうがお得です
住宅で屋根の補修工事をする場合、高所作業になりますので必ず足場が必要です。労働安全衛生法により高さ2m以上の箇所で作業する場合は足場が必要と明記されています。屋根の工事をする場合は、一緒に他の屋根工事もまとめてしまうと足場費用が一度で済むメリットがあります。いずれ必要になる屋根の関連工事があるなら、全て済ませてしまうことをおすすめします。破風・鼻隠し・ケラバの補修工事をするなら、雨樋の交換など周辺箇所の工事をしておきましょう。足場を組むことは、作業する職人の安全と丁寧で迅速な作業をするためにあります。また、足場にシートを設置することによって、ほこりや騒音などを抑制し、ご近所への配慮する事が依頼者にとってのメリットです。
ケラバと破風板、鼻隠しは傷みが出やすい部分でありながらも、あまり気にされることはないところではないでしょうか。建物全体に締める面積が少ないために目立ちませんし、ケラバは裏側の軒天は見えますが、上側は全く見えません。見上げないと見えない部分だけに気付いたらボロボロになっていたということも多いのです。早めの点検を行うことによって、損傷が小さい状況でメンテナンスをする事が大切なポイントです。
見えづらい部分のため劣化に気づきにくい
街の屋根やさんでは建物の無料点検を実施しております。破風板・鼻隠し・ケラバはもちろんのこと、屋根全体、建物全体を隈なく点検致します。また、リクエストがあれば他の部分もしっかりと点検致します。
「この前の台風は大きかったけど、建物は大丈夫かしら?」、「何年も点検もメンテナンスもしていないから雨の季節が心配…」という不安をお持ちの方はぜひ、ご利用ください。問題点がなかった場合はそれで安心できますし、見つかってしまった場合は最適なアドバイスを致します。
破風板・鼻隠し・ケラバの役割と修理・補修方法のまとめ
●屋根の側面の重要部分である「破風板」と「鼻隠し」は傷みやすいので定期的なメンテナンスが必要です
●世の中には「破風」や「鼻隠し」、「ケラバ」がない家も多数、存在します
●片流れ屋根や差し掛け屋根にも「破風板」と「鼻隠し」と「ケラバ」が存在します
●「破風板」と「鼻隠し」と「ケラバ」、部位は違うが耐風性の向上、雨水の浸入防止、耐火性の向上という役割があります
●「破風板」と「鼻隠し」の材料は同じなので補修方法もほぼ同じです
●傷みが軽微なうちに塗装で保護するのが理想です
●傷みが酷くなってきたら、板金で巻いて覆ってしまう補修方法もあります
●「破風板」と「鼻隠し」に劣化や腐食がある場合は部分交換や全交換を行います
●「ケラバ」も傷みやすい部分です
●「ケラバ」は屋根材によってメンテナンス方法が異なります
●「破風板」と「鼻隠し」と「ケラバ」の点検は街の屋根やさんの無料点検をご利用ください
破風板に関する施工事例一覧
横浜市神奈川区入江で外れてしまった雨樋の交換工事を行いました
【施工内容】
雨樋工事
【使用材料】
積水化学工業 アーバントップΣ90
港北区日吉本町で劣化してしまった屋根にスーパーガルテクト(Sシェイドモスグリーン)でカバー工事を行いました
【施工内容】
【使用材料】
スーパーガルテクト(Sシェイドモスグリーン)
【施工内容】
【使用材料】
DL55ジョイント・破風板
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